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新人合同自主トレでノックを受ける塩士暖投手(手前)=2025年1月27日、福岡県筑後市のタマスタ筑後、山本壮一郎撮影

 能登半島地震の被災地・石川県輪島市の高校生が、プロ野球の世界に一歩を踏み出した。昨秋のドラフト会議で指名された全123選手の最後、福岡ソフトバンクホークスに育成13位で名前を呼ばれた18歳。1月に選手寮に入り、練習を始めた。自分の活躍で故郷の人たちを笑顔にしたいという。

 1月下旬、ソフトバンクのファームの拠点・福岡県筑後市の球場。石川県立門前高(輪島市)3年の塩士(しおじ)暖(だん)投手は、3桁の番号が入ったビブスをつけてノックを受けていた。

 選手18人が参加する「新人合同自主トレ」。スタンドには、平日でも望遠レンズ付きのカメラを構える人がいる。塩士投手は「ファンの方に見守られて練習をしていると、(プロ入りを)一番実感する」と話す。

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記者の質問に答える塩士暖投手=2025年1月27日、福岡県筑後市のタマスタ筑後、山本壮一郎撮影

 寮生活を始めたのは1月5日。地元の同級生たちはその2日後、3学期の始業式を高校近くの公民館で迎えた。1年前の能登半島地震による校舎の損傷が年の瀬にわかり、仮設校舎ができるまでの間、移転を余儀なくされたからだ。

「死にたくない」砂ぼこりの中、避難所へ

 昨年の元日、塩士投手が輪島市中段町の自宅で仏壇に新年のあいさつをしようとしたとき、家が大きく揺れた。家族5人で外に出た直後、さらに大きな揺れが来た。

 地中からゴーッという音がし…

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