
米国はイスラエルと歩調を合わせてイランを攻撃し、最高指導者を殺害。ベネズエラでは石油権益を掲げて首都を攻撃し、大統領夫妻を米国に連れ去りました。米トランプ政権が帝国主義時代に戻ったかのように行動する世界をどう考えればいいのでしょう。英オックスフォード大学に提出した博士論文を基にした著書「石油が国家を作るとき」で、注目を集める国際政治学者に聞きました。
――米トランプ政権の行動は、米国の過去の行動と比べても異質に見えます。国際政治の文脈で、どのように考えていますか。
「資源の呪い」を解き、「真っ当さ」を守れるか
「個人的に最も特異だと感じるのは、それがどこまで本当の理由なのかは別にして、トランプ政権が『石油』という動機を、露骨に表明している点です」
「これまでの米国による軍事介入、例えばイラク戦争などでも、背後に石油利権があるという指摘が常にありました。しかし、それはある種の『陰謀論』としてささやかれることはあっても、政権側はあくまで『民主主義のため』とか『人道的介入』といった大義名分を掲げ、仮に資源の権益を確保する意図があったとしても覆い隠す。それが国際社会における最低限のいわば『作法』でした」
「ところがトランプ政権は、ベネズエラへの介入の理由として石油に公然と言及し、さらには介入直後に大手石油会社幹部を集めた会合を開くなど、その意図を隠そうとすらしません。これは、戦後国際秩序が少なくとも表向き前提としてきた『真っ当さ』の欠如を露呈しています」
「実際には、石油というより、西半球に反米的な政権が存在しているのを嫌ったとも言われていますが、単なるモンロー主義的なものへの回帰にとどまらず、他国の主権を自国の利得のために平然と軽視する、新しい、そして極めて危うい段階に入ったといえます。これは、今回のイラン攻撃においても明らかです」
――「石油があるから、紛争が起きる」という言説がありますね。
「『資源の呪い』という言葉があるように、一般的に石油は紛争や独裁政治の元凶と見なされがちです。確かにイラン・イラク戦争(1980~88年)などの象徴的な事例は、世界中の人々の記憶に深く刻まれています。しかし、近年の統計分析を用いた研究成果によれば、石油と国際紛争の間に一律の相関関係があるわけではないことが明らかになっています」
「膨大なデータを精査すると…










