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紙芝居を描いた平綱厚子さん(左)。右の河毛貞子さんは千人針の再現品も持つ=2025年6月13日午後3時11分、滋賀県長浜市、小西良昭撮影

 あっちゃんがまだ3歳の昭和16年12月8日、日本はアメリカと戦争を始めました――。「あっちゃん」こと、平綱厚子さん(87)=滋賀県長浜市=は80年前、愛知県から長浜へ避難(疎開)した。この体験を2年前から紙芝居で小中学生に語る。タイトルは「7才の記憶」だ。

 戦時中、愛知県古知野町(現・江南市)に住んでいた。1944年1月、赤紙(召集令状)が父に届く。滋賀県田根村(現・長浜市)の出身で、陸軍の敦賀連隊(福井県)に入れとの命令だった。

 母はさらしを赤い糸で一針ずつ縫い留める「千人針」を街頭で集めた。父の弾よけのお守りで、平綱さんも針を入れた。

出征したはずの父が姿を見せて

 父が実家から連隊へ向かう日…

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