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【動画】土砂崩れが発生した石川県輪島市の中屋トンネル=飯野祐平撮影

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「住宅が流された」との情報がある川周辺の現場。川の流れは激しく、大きな流木がいたるところにある=2024年9月22日午前8時8分、石川県輪島市久手川町、上田真由美撮影
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 能登半島地震の被災地で記録的な大雨が降り、川の氾濫(はんらん)や土砂崩れなどで大きな被害が出ています。現地からの情報をタイムラインでお届けします。

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  • 被災女性「地震がきて、今度は雨が…」記者が目にした輪島の大雨被害

17:00

輪島市長「孤立集落に物資が一切入っていない。急いでお願いしたい」

 輪島市の坂口茂市長は22日夕、県の災害対策本部員会議にオンラインで参加し、「今日、孤立集落にヘリと陸送で入ると言った物資が一切入っていないし、情報もない。どうなってるのか。期待している方もいる。急いでお願いしたい」と述べた。

 坂口市長は、避難者が28カ所の避難所に730人いるとし、「いま雑魚寝状況。学校も床上浸水や(授業)再開中などで使いにくい。快適な受け入れがこの人数ではできないと心配されている」と現状を訴え、「ホテルとかで受け入れをお願いする可能性も出てくるのではないか」と話した。

 馳浩知事は「物資が届いていないのに私もびっくりした」と応じた。県は、悪天候でヘリが使えず、「連絡がうまくいかなかった」と説明した。ヘリでしか運べない門前地区以外へは、トラックで物資を運ぶことを検討しており、22日中に届ける予定という。

輪島市のトンネルで安否不明だった男性を救助

 22日午後4時ごろ、石川輪島市門前町の中屋トンネル付近で、流れ込んだ土砂の影響で安否不明となっていた交通誘導員の男性(72)が救助された。

 能登半島地震で被災したトンネル近くの復旧工事現場で、交通誘導にあたっていたところ、土砂に阻まれて動けなくなった。クーラーボックスに腰掛けて、傘を差して夜を明かしたという。取材に「心配している妻に電話をしました」と話した。

安否不明の中学生の父親「見つかったら抱きしめたい」

 能登半島を襲った21日の豪雨で、石川県輪島市久手川町で安否不明になっている中学3年生の女子生徒の父親が22日午後、被災した当時の状況を報道陣に語った。

 父親によると、家族は5人暮らしで、21日朝は中3の娘だけ家に残っていた。仕事に出ていた父親は近所の人からの連絡で自宅周囲に水があふれていることを知り、娘に午前9時40分ごろに電話。娘は寝ていたらしく、窓の外を見て「海みたいになっている」と父親に言った。2階から外に出ようとしたが、扉が開かないという。父親は「開かないならそこにいるしかないな」と声をかけた。10時過ぎにまた電話したが、つながらなかった。

 父親は自宅へ向かったが、市内は冠水しており、徒歩でようやく近くに着いたのは午後1時半ごろ。だが、自宅はすでになく、基礎部分だけが残されていた。娘の名前を呼んだが、返事はなかった。

 父親は消防団員だが、22日は現場近くで仲間や警察の捜索を見守った。「自分も捜索したいけれど、ヘルメットもみな流されてしまってできない」

 父親は娘について「優しい子で、絵が上手で歌も好き。とにかく頭が良い」と言う。「とにかく見つかってほしい。見つかったら抱きしめたい」

14:00

「せっかくの仮設なのに住めない」知事に対応求める

 石川県の馳浩知事は22日午後2時、大雨で浸水した同県輪島市の仮設住宅を視察した。被災者は「せっかくの仮設(住宅)なのに住めない」と訴え、早急な対応を求めた。

【動画】記録的な豪雨で被害を受けた能登北部を22日に上空からとらえた様子=飯野祐平撮影

 馳知事は一帯が泥水につかり、多くの仮設住宅が床上浸水の被害を受けた同市宅田町の仮設住宅を見て回った。漁師の早瀬賢生(けんじょう)さん(71)は「昨日は車中泊をした」と窮状を訴えた。元日の地震で自宅が壊れ、5月から仮設住宅で家族やペットと暮らしていたが、部屋は腰の高さくらいまで泥水につかり、冷蔵庫や洗濯機が浮いたという。取材には「またか、という思い。手のつけようがない」と話した。

13:40

自衛隊を増員、天候回復すればヘリ投入

 木原稔防衛相は東京・市谷の防衛省で記者団の取材に対し、大雨に見舞われた能登半島で自衛隊員約380人(22日昼過ぎ時点)が被災者の捜索・救助活動にあたっていると説明した。天候が回復し次第、ヘリコプターによる水・食料などの輸送や情報収集を始めるとした。

 木原氏は「行方不明者や安否不明者の人命捜索・救助活動に全力を尽くす」と述べた。

 自衛隊が活動しているのは石川県輪島市、珠洲市、能登町。21日午前に石川県の馳浩知事からの災害派遣要請を受けて約250人規模で活動していたが、土砂崩れなどによる道路の寸断が多数発生していることを踏まえて増員した。

13:30

不明の男性、死亡を確認 安否不明の1人か

 22日午後1時半ごろ、石川県輪島市塚田町を流れる塚田川で、高齢男性1人が見つかったが、その場で死亡が確認された。消防や警察によると、上流の久手川町では住宅4棟が流されたとの情報があり、安否が分かっていない4人のうちの1人の可能性があるという。県警輪島署が男性の身元を調べる。

 奥能登広域圏事務組合消防本部によると、消防団員から通報があった。流木に絡まった状態で、体の一部が見えていたという。

13:30

石川県、安否不明の6人の氏名など公表

 石川県は22日、能登半島の大雨が原因とは断定できないが連絡が取れなくなっている安否不明者6人の氏名、住所、年齢などを公表した。午前11時の時点で市町から上がってきた情報を整理した。広く情報を求めている。

 6人は輪島市の15~89歳の男女5人と珠洲市の女性(79)。

 県危機管理監室によると、災害時にどこにいたのかなど細かい地点はわかっていないが、住宅や車が流されたとの情報がある輪島市の塚田川周辺で4人、ほか同市と珠洲市の2地点での安否不明者という。

 安否不明者は、災害が起きた地域で家族などと連絡が取れず、所在がわからない人。災害で所在不明となり、死亡の疑いがある「行方不明」とは区別されている。行方不明について、県は3人と発表している。

12:00

馳浩知事「ボランティアたくさん入ってほしい」

 石川県の馳浩知事は22日、能登半島の大雨災害で今後被災者の住宅からの泥出しや片付けのニーズが高まるとして、「ボランティアにたくさん入ってほしい」と述べた。ボランティアを運ぶバスの手配もするという。

 元日の能登半島地震では、当初はボランティア応援の自粛を求め、復旧が進まない一因になったとの批判もあった。「今回はボランティアを増やすのか」との質問に、「地震の時はインフラがずたずたということで、ボランティアに入る方がむしろ足手まといになりかねないという状況だった」と語った。

 今回は、その心配が小さいとした一方で、「四輪駆動車で入っていただくなど、配慮をしていただかないと、車で入っても泥にはまる可能性もあるので気をつけながら入っていただきたい」と付け加えた。

「警察、消防、自衛隊が懸命な救助活動」 林官房長官

 林芳正官房長官は、22日午前7時30分時点で死者1人、行方不明者3人、安否不明者3人との報告を受けていると明らかにし、「被災現場において警察、消防、自衛隊が現在も懸命な救命救助活動を行っている」と語った。同11時ごろに首相官邸で記者団の取材に応じた。

 林氏はまた、米国を訪問中の岸田文雄首相から電話で「能登半島地震からの復旧復興の途上であることも踏まえつつ、引き続き被災状況を注視し、地元自治体のニーズをよく把握して対応するように」との指示があったと説明。石川県の馳浩知事とも電話で連携を確認したとし、「被害情報の把握や災害応急対策に全力を尽くすとともに、地元自治体と連携し、そのニーズをしっかり把握した上で対応に当たる」と述べた。

黒部渓谷のトロッコでトンネルに土砂、乗客60人を徒歩で誘導

 22日午前10時ごろ、富山県黒部市の黒部峡谷・トロッコ電車の路線にあるトンネル内に土砂が流入した。降り続いた大雨の影響とみられる。黒部峡谷鉄道によると、この影響で乗員・乗客約60人を乗せたトロッコ電車(13両編成)が、出平―猫又駅間で一時立ち往生した。

 同鉄道によると、トンネルを通過して数分後に土砂が流入。乗客の安全を確保後、約500メートル離れた出平駅まで徒歩で誘導したという。けが人はいないという。

 この土砂の撤去作業などのため、22日は終日トロッコ電車の運転を休止する予定。

濁流と無数の倒木 「住宅流された」情報の輪島市久手川町

 石川県輪島市では、22日朝も横殴りの激しい雨が続いた。

 住宅が流されたとの情報がある同市久手川町は、普段なら中心市街地から車で10分足らずの場所にある。塚田川の茶色い濁流は激しく、ゴーという水の音と強い雨音で、防災無線の呼びかけの音も聞き取れないほど。塚田川には木肌がむけた倒木が無数に流れ、木と土のにおいがただよっていた。

 川沿いに立つ壊れた住宅にも流れてきた流木とみられる塊が引っかかり、道路に勢いよく流れる泥水も次第に水かさを増していった。

 「流された」との情報がある住宅のあった場所はどこなのか――。それ以上近づいて確認することはできなかった。

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