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奈良県いじめ対策連絡協議会で意見を述べる元生徒=奈良市内

 奈良県いじめ対策連絡協議会が10月29日、奈良市内であり、県が改定を進める「いじめ防止基本方針」について、県の再調査委員会でいじめ被害を認定された奈良学園の当事者の元生徒(18)が意見を述べた。1年半にわたり通学できず今もPTSDを抱えるなか、「被害側の学ぶ権利を守ってほしい」と要望した。

 同協議会は、改定案に「いじめを行った子どもの別室登校を検討する」との文言を盛り込んでいる。これに対し元生徒は「『検討』という言葉はあいまいだ」と主張。「先生が守ってくれなければ被害に遭った子は絶望し孤立する」として、具体的な対応策を加筆するよう求めた。

 会長を務める千原雅代・天理大教授は「あなたが直面したような事態が生じたことは慚愧(ざんき)の念に堪えない。具体的に徹底したいじめ対策が必要というのはその通りだ」と語りつつ、「この場は方針を決めて学校現場へ戻すシステムであることを理解してほしい」と述べた。

 元生徒は終了後、報道陣の取材に「(いじめ問題に取り組む)大阪府寝屋川市の監察課のような組織が必要だと思う」と述べた。

 同協議会は教育関係者や専門職13人で構成。奈良学園の古川謙二参与は退任し、智弁学園の藤田清一朗理事が新たに就いた。いじめ防止基本方針案をさらに精査した上でパブリックコメントを募り、来年3月に改める予定。(机美鈴)

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