讃岐うどんに欠かせない黄金色のだし。その決め手となるのが「いりこ」と呼ばれるカタクチイワシの煮干しだ。なかでも瀬戸内海の伊吹島(香川県観音寺市)沖合でとれたイワシを使う「伊吹いりこ」は、高品質で知られる。
ただ、すべてのイワシがいりこになるわけではない。脂がのって太ったものは「脂イワシ」と呼ばれ、乾燥段階で酸化が進み、風味が落ちるため、積極的に漁獲されてこなかった。
そんな「伊吹いりこになれなかったイワシ」を商品化している会社の一つが、観音寺港近くにある共栄冷凍水産だ。代表取締役の藤村昭夫さん(75)は、きっかけは父親の背中にあったと語る。
2005年、創業者である父から経営を継いだ。当時は、いりこ加工から、冷凍倉庫で顧客の商品を預かる事業にかじを切っていた。「荷物を預かるだけでは営業利益をコントロールしづらい」と考え、新規事業の展開を模索した。
先発企業には価格で勝てない、だからこそ
12年、企業経営者が意見交…