ふるさと納税をイベントや事業の実施に活用する「クラウドファンディング(クラファン)型」を採用する自治体が5年間で2倍近くに増えている。過度な返礼品競争が問題となるなか、これまでふるさと納税を利用してこなかった層にもアピールできるとして注目されている。
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岐阜県美濃加茂市は7月31日からクラファン型のふるさと納税をスタートさせた。市内を流れる木曽川沿いの公園で10月に開催する音楽フェスや、飼い主不明の猫の不妊手術など3事業が対象だ。
藤井浩人市長は「補助金頼みでないイベントもでき、市の取り組みを知ってもらえる」と説明する。
クラファン型は目標金額、募集期間などを決め、特定の事業にふるさと納税を募るものを指す。通常のふるさと納税と同様に寄付金控除を受けることができる。「経済的に困難な高校生の進学支援」「花火大会の実施」「歴史的建造物の耐震化」など自治体ごとに様々な取り組みがあり、返礼品が無い事業もある。
総務省の調査ではクラファン型を採用した自治体は、2018年度に204団体だったが、23年度は369団体と1.8倍に増えている。
「返礼品に税金使いたくない」の声も
増加の一因には、返礼品競争が進むなか、クラファン型が「地域を応援したい」というふるさと納税制度の趣旨により近い仕組みになっていることがあるという。
ふるさと納税の利用者は年々増え、昨年の利用者(控除適用者)数は約1千万人に達したものの、納税義務者数の2割未満にとどまっている。
そんななか、クラファン型は、これまで制度を利用したことが無い人にアプローチできている。
美濃加茂市の事業を支援するボーダレス・ジャパン(福岡市)の「ふるさと納税forGood」が全国の利用者456人を対象にアンケートを実施したところ、クラファン型でふるさと納税を初めて利用した人が69%だった。また、寄付総額のうち45%が「返礼品なし」を選択していた。
担当者の田淵康佑さん(40)は「納税して物(返礼品)をもらうことに自分の税を使いたくない、という声も結構ある。クラファン型は納税が地域のために役立っているのが分かるということで初めて利用する人も多い」と説明する。
「返礼品でカバーできない層の利用増を」
「ふるさと納税forGoo…