パレスチナ自治区ガザでのイスラエル軍の攻撃による民間人の犠牲者の多さの背景には何があるのか。イスラエル国内ではどう受けとめられているのか。イスラエルの平和活動家で、文化人類学者のジェフ・ハーパー氏は、国際法違反と明言します。その「対テロ作戦」の影響は、世界に広がると警鐘を鳴らします。
- ガザ攻撃支えるイスラエル軍の「倫理」 正当化される民間人被害とは
――イスラエルはガザの作戦で、国際人道法の原則を順守していると主張しています。その一つは、攻撃の際の戦闘員と民間人の「区別」ですが、守られていますか。
国際人道法では、民間人を狙った攻撃は禁止されています。イスラエルは、攻撃の対象は合法的な軍事目標のみであり、民間人は攻撃しないと主張していますが、敵対者を「テロリスト」と「テロリストを支援する民間人」というカテゴリーでくくっています。いずれも国際人道法にないものです。
「テロリストを支援する民間人」は、たとえ戦場で戦闘に参加していなくても「事実上の戦闘員」と見なされるため、ガザのほとんどの住民は、幼い子供たちを除いて、合法的な攻撃対象と見なされる可能性がある。今のイスラエルでよく耳にする「ガザの住民はみんな(イスラム組織)ハマスのメンバーだ」という考え方が、この違法な政策を正当化しているのです。
――最近のイスラエルの世論調査では、7割近くの市民がガザでの戦闘終結を望んでいます。パレスチナ人の犠牲者の多さが、市民感情に変化をもたらしていませんか。
「国際法違反」批判を気にしないわけ
多数のイスラエル市民は戦争…