インプラント治療費が返還されるとうそを言って現金200万円をだまし取ったとして、千葉県警は19日、千葉市中央区の歯科医院「高橋デンタルオフィス」(閉院)の院長だった歯科医師、高橋仁一容疑者(58)を詐欺の疑いで逮捕し、発表した。調べに「弁護士と話すまでは黙秘します」と供述しているという。県警は他にも同種の被害を複数把握しており、全容解明を進める。
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捜査2課によると、高橋容疑者は2021年3月30日、歯科医院でインプラント治療を受けていた県内の50代女性に、自身の講演会で女性の症例を紹介し、支払い済みの治療費と同額の200万円をインプラントメーカーに提供すれば、治療費も含めた全額が後で返還されるとうそを言い、翌日に現金200万円をだまし取った疑いがある。
同院をめぐっては、県警はすでに10人以上から同種の被害届を受理している。また、24年1月に結成された「被害者の集い」では、インプラント治療そのものや、貸金に関するトラブルも報告されているという。
帝国データバンクによると、同院は24年6月26日に千葉地裁で破産手続き開始決定を受けた。負債総額は約19億円。県警は、クリニックの賃料などの負債が膨らみ、自転車操業になっていたことが事件の背景にあったとみて調べている。