トランプ米政権が、連邦地裁による差し止め命令に背いて、ベネズエラのギャング組織のメンバーら250人以上を国外追放したことが問題になっている。政権は裁判所に対し「法的根拠がない」と主張し、真っ向から争う構えだ。
政権は15日、1798年に制定された「敵性外国人法」の発動を発表。同日中にギャング組織「トレン・デ・アラグア」のメンバーらとされる261人を中米エルサルバドルに追放した。
トランプ大統領は「バイデン(前)大統領によって我が国に送り込まれたモンスターたちだ」とSNSに投稿。手錠をかけられた男性らが次々と飛行機から降ろされ、髪をそり上げられて刑務所に入れられる動画も公開された。
これに対し、人権団体などの訴えを受けた首都ワシントンの連邦地裁は同日、この追放を一時的に差し止めた。米メディアによると、判事による口頭の命令が出た時点で、ギャングらを乗せた3機の飛行機のうち2機は離陸済みだった。判事は航空機を引き返させるよう命じたが、政権はそのまま続行。弁護士などからは「命令の無視だ」と批判が上がっている。
一方、トランプ政権で国境管理を担当するホーマン氏は17日、FOXニュースの取材に「我々は止まらない。判事がどう思おうが、左翼がどう思おうが、我々はやる」と強気の姿勢を示した。
またトランプ氏は18日、SNSへの投稿で担当判事を「過激な左翼だ」と断じ、弾劾(だんがい)されるべきだと批判。「彼は大統領に選ばれたわけではない。私は圧倒な支持を得て勝った。有権者が私に望んだことをやっているだけだ」などと訴えた。
ホワイトハウスのレビット報道官も、地裁の命令には「法的根拠がない」と主張。そもそも「命令が出される前に、対象となった飛行機はすべて離陸していた」と説明した。司法省は、地裁の担当判事を交代させるよう上級審に申入書を提出した。
■戦時下の日系人にも適用、「…