自閉症の男の子ジェイソンと父ミルコたちの葛藤と触れ合いを描いたドイツ映画「ぼくとパパ、約束の週末」(マルク・ローテムント監督)が15日から、新宿ピカデリー(東京都新宿区)などで全国公開される。映画はドイツで観客100万人を動員するなど、自閉症への理解に大きく貢献した。ただ、父子のモデルになったミルコ・フォン・ユターツェンカさん(46)とジェイソン・フォン・ユターツェンカさん(19)の目に映るドイツ社会は、これまでの自由な空気が失われる危機に瀕(ひん)しているという。
【連載】読み解く 世界の安保危機
ウクライナにとどまらず、パレスチナ情勢や台湾、北朝鮮、サイバー空間、地球規模の気候変動と世界各地で安全保障が揺れています。現場で何が起き、私たちの生活にどう影響するのか。のべ270人以上の国内外の識者へのインタビューを連載でお届けします。
映画は、ジェイソンさんが6歳から11歳の間に起きたエピソードで構成されている。周囲から自閉症を理解してもらえず、孤立しがちなジェイソンさんが「自分が応援するサッカーチーム」を決めるため、父ミルコさんと週末ごとに旅に出る。いろいろな困難に遭いながら、二人はお互いの理解を深めていく。
ジェイソンさんは宇宙物理学を学ぶため、今はスイス・チューリヒの大学に通う。普通の人なら平気な音や接触に耐えられず、今でも満員のバスに乗れないときがあるという。
サッカースタジアムを巡る旅、重ねた父子の対話
父ミルコさんとの旅は今でも…