モータースポーツはみんなを元気にする――。そんな信念のもと、池谷信二さん(65)=栃木県鹿沼市=は従業員25人の町工場の社長として、レーシングカーを一から作り上げた。
1人乗りで座席や車輪が覆われていない「フォーミュラカー」の入門タイプで、4月にはモビリティリゾートもてぎ(栃木県茂木町)のサーキットでテスト走行を済ませた。甲高いエンジン音を響かせて駆け抜ける車を見ながら、「来年、ここで熱いバトルが繰り広げられますよ」と自らに言い聞かせるように語った。今年いっぱい改良を加えて、来年にはこの車を使ったレースを開催することをめざし、サーキット側と話を進めている。
現状でフォーミュラカーは安くても1台1千万円ほどするが、目標価格は「500万円」。車体のレンタルも選択肢に、意欲ある若者がドライバーとして参加できる機会を増やし、そこを入り口により上位のレースもめざしてもらう狙いだ。
車離れが進む中、かつて自らが心酔し、人生を賭けたレースの世界にあこがれる若者が減っていると感じ、「ハードルを下げたい」と思ったのだという。
情熱だけで車作りに没頭
異色の「技術屋」だ。
山梨県出身。18歳の時、未…