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自らの体験を描いたドキュメンタリー映画「Black Box Diaries」が米ニューヨークのアジア・ソサエティーで上映された後、壇上で話すジャーナリストの伊藤詩織さん(右)=2025年3月5日、中井大助撮影

 実名で性被害を訴えたジャーナリスト伊藤詩織さんの弁護団は18日、伊藤さんが監督したドキュメンタリー映画「Black Box Diaries」についての記事で「名誉を傷つけられた」として、東京新聞の望月衣塑子記者に対して起こした訴訟を取り下げたと発表した。

  • 伊藤詩織さん映画を考える対話 浮かび上がってきた「問題」の本質は

 望月さんは1月14日に東京新聞のサイトに掲載された記事で、映画について「女性記者たちが性被害などを語った非公開の集会の映像が、発言者の許諾がないまま使われていた」などと報道。東京新聞は2月7日、記事の見出しや本文を訂正し、「誤解を招く表現だったことをおわびします」と謝罪した。

 これに対し伊藤さんは2月10日、記事で名誉を傷つけられたのに、望月さんがSNSなどで一切訂正していないなどとして、望月さん個人に330万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

 伊藤さんの弁護団は声明で、取り下げの理由について説明。訴訟の取り下げを求める声が複数届いたことや、2月20日に伊藤さんが再編集を約束し、関係者との対話が始まっていることをあげた。「作品をめぐる対話が、訴訟をめぐる論争で妨げられるとすれば、作品にとって有害であり、依頼人の利益に反する」としている。

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