Smiley face
写真・図版
正倉院に伝わる蘭奢待(黄熟香)=正倉院事務所提供
  • 写真・図版

 奈良の正倉院に伝わり、歴史上の多くの権力者が手にしようとしてきた究極の香木、蘭奢待(らんじゃたい)。宮内庁正倉院事務所(奈良市)は8日、その組織構造や成分を分析し、香りの秘密を明らかにしたと発表した。

 蘭奢待は長さ1・56メートル、重さ11・6キロの巨大な香木。正式名称は「黄熟香(おうじゅくこう)」だが、香道が盛んになった室町時代ごろから、正倉院を管理していた「東大寺」の名を文字に隠した雅号の「蘭奢待」の名で有名になった。足利義政や織田信長、明治天皇が一部を切り取ったという付箋(ふせん)がつけられている。

 正倉院事務所は昨年、強力な光からX線を発生させる兵庫県佐用町の大型放射光施設・スプリング8で、生物組織などの微細な構造を分析するマイクロCTを使い、蘭奢待の脱落した微細な破片を分析した。

伐採された年代判明、香りも再現

 その結果、木質に多くのすき…

共有