埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故をめぐり、県による住民説明会が22日、市内で初めて開かれた。一時は185人が自主避難した大規模陥没。周辺住民120人が参加し、苦しみや不安を訴えた。
冒頭、大野元裕知事が事故について「心からおわびする」と述べた。担当者から事故の概要や、下水道管を迂回(うかい)させるバイパス(仮排水管)の供用開始を5月中に目指すことなどが説明された。損害の補償については、災害救助法の適用が決まり、国や県などの支援制度が利用できることになったことが説明された。
質疑では延べ約30人が発言し、下水の臭いや昼夜にわたる工事の騒音や振動などを訴える意見が多く、「避難要請が解除されても、住める環境ではない」という人も。県は地上では硫化水素が検出されていないことや騒音も基準内であることを説明し理解を求めたが、「数字で説明されても納得できない。市民はとても不安を感じている」との意見も出た。
ほかには、事故で破損した可能性がある住宅の家屋調査や、交通規制への改善を求める声、下水道点検を装った不審者事案などに不安が寄せられた。
大野知事は終了後、「目の前に穴があるなかで生活している住民の不安を痛切に感じた。より丁寧に寄り添って対応したい」と話した。今後も節目ごとに説明会の開催を検討するという。