ウクライナ軍が越境攻撃を続けるロシア南西部・クルスク州に、最初の北朝鮮兵が到着した模様です。千葉科学大学客員教授を務める山下裕貴元陸将は北朝鮮の派兵について「ロシアと北朝鮮の軍事同盟の深化を意味し、東アジアの安全保障に大きな影響を与えるだろう」と指摘します。
【連載】読み解く 世界の安保危機
ウクライナにとどまらず、パレスチナ情勢や台湾、北朝鮮、サイバー空間、地球規模の気候変動と世界各地で安全保障が揺れています。現場で何が起き、私たちの生活にどう影響するのか。のべ260人以上の国内外の識者へのインタビューを連載でお届けします。
――クルスク州での戦いをどうみていますか。
最大約2万人のウクライナ軍がクルスク州に侵攻し、東京都の半分にあたる1千平方キロを確保しています。ロシア軍は、クルスク州のいくつかの集落を奪還したと発表しましたが、大きくは押し戻せていない状況です。ウクライナ軍も投入できる兵力に限界があるため、占領地域を拡大せず、守りに入ったとみられます。
北朝鮮の派兵、ロ朝軍事同盟の深化の表れ
――北朝鮮がロシアに派兵をしたことをどうみますか。
ロシアのプーチン大統領は、「北朝鮮指導部は真剣に対応している。条約(6月に締結した有事の軍事援助を定めた朝ロ包括的戦略パートナーシップ条約)の枠組み内で何をどのようにするかは我々の問題だ」と述べ、北朝鮮の派兵を否定していません。ロシアと北朝鮮の軍事同盟が深化した表れだと思います。
――両国にメリットはあるの…