台湾で博物館学を学ぶ大学院生2人が、天理大学付属天理参考館(奈良県天理市)でインターンとして実習に励んでいる。台南芸術大学の廖婉婷(りょうわんてい)さん(29)と、鄭傲翔(ていごうしょう)さん(25)。展示企画や資料の整理・保管について1カ月間、学芸員らの指導を受ける。
廖さんは生まれも育ちも台湾、鄭さんは香港出身。台湾の博物館では、収蔵品の研究をもとに展示構想を立てる研究者的な学芸員と、その構想から具体的な展示企画を組み立て、収蔵品の管理や普及教育なども手がける実務的な学芸員の分業が進んでいるという。2人は実務を担当する学芸員を目指している。
天理参考館には、天理教が海外での布教活動で現地の文化を知るために集めた資料が多数収蔵されており、台湾の先住民族の日用品や織物のコレクションは有名。台湾の研究者が調査に訪れるなど、交流も活発だ。
今回は台南芸大と以前から交流があった松田真一・同館特別顧問が受け入れ役になって2人を迎えた。
今月1日から同館で研修を始め、現在開催中の企画展「布留遺跡の歴史」の準備に参加したほか、近畿の大学の学生とともに博物館実習も受講。近畿各地の博物館にも足を延ばして見聞を広めている。
「日本の博物館は展示パネルの文字数が多く、みんな真剣に読んでいるのが印象的」と鄭さん。廖さんは「日本の博物館は実物の展示を大切にしており、レプリカが多い台湾との違いを感じた」と話す。一方で、2人ともデジタル技術を使った展示は台湾の方が進んでいると感じたという。
2人は8月1日に研修を終える予定だ。(今井邦彦)