現代演劇を変革した一人、唐十郎さんが亡くなって、5月4日で1年になります。主宰した劇団唐組は、座長亡き後も「紅(あか)テント」で活動を続け、「紙芝居の絵の町で」を公演中です。舞台の上にも客席にも、若者が増えているという劇団のいまを、最年長で「座長代行」の久保井研さんに聞きました。
座長代行が語る「唐組」のいま
1960年代後半、昭和でいえば40年代、既成の演劇に反逆する若者たちが、野外にテントを張り、芝居を始めました。劇作家・演出家・役者の唐十郎が率いた劇団、状況劇場の「紅(あか)テント」はその代表格です。
私は大学時代に初めて見てしびれ、入団したいと思いましたが、直後に状況劇場は解散。89年に後継の劇団唐組の1期生になりました。
座長の唐は2012年にけがをして劇作・演出が難しくなり、昨年5月に世を去りました。でも、唐組はずっと、座長が元気だった頃と同じように春と秋に、4トントラック2台にテントと機材を、ワゴン車2台に生活用品を積んで全国を回り、お寺などに寝泊まりしながら、唐が書いた戯曲を上演し続けています。
劇団員は現在20人、半分が20代です。客席もここ数年、大幅に若返っています。変化のきっかけはコロナ禍でした。20年の春公演は中止。秋も普段通りの上演はできず、長く使っていなかった古い紅テントを引っ張り出して、東京・下北沢で規模を縮小した公演をしたんです。すると、音楽や演劇が好きな若者が、街なかに現れた紅テントに関心を示し、やってきた。
唐を直接知らない世代がぐん…