公立中学校での部活動の地域移行をめぐり、高知県の浜田省司知事は10月31日、過疎地域では外部の受け入れ団体や指導者が少ないとして、「全てを地域移行で対応することは現実的ではない」との見解を示した。
教員の長時間労働を改善することなどを目的に、休日の部活指導を学校外の民間団体などに委ねる「地域移行」が全国的に進んでいる。国は2023年度からの3年間を「改革集中期間」とし、休日の部活移行をおおむね達成することを目指している。
浜田知事はこの日、県庁で若手市町村議員と部活動の地域移行などについて意見交換した。宿毛市の井上将市議は「子どもの数や受け皿になるクラブ数など地域の事情で地域格差が生まれている」と指摘。浜田知事は「地域移行は条件が整うところはいいが(県内では)必ずしも整わないところの方が多い」と応じた。
県教委によると、県内19のクラブで地域移行を受け入れている。しかし多くは生徒数の多い県中央部に集中し、民間団体の少ない地域では希望する指導を頼めない事例もあるという。
県は今年度から、一つの学校を拠点として近隣の生徒を受け入れる「拠点校部活動」を導入し、4校が採用している。移動などにかかる費用を県が補助する制度だが、継続的な財源確保に課題があるとして、「国の責任で支援メニューを準備することが必要だ」と要望していくとした。(羽賀和紀)