「今のはすごいです!」
サクラナイツの控室を出てきた内川幸太郎は、記者と目が合うと、興奮した様子でそう訴えかけた。
全8日のファイナルシリーズが始まり、2日目。
パイレーツの独走を防ぐべく出場したチームメートの堀慎吾は、オーラスでテンパイを外し、2巡後にはテンパイを取らず、3度目のチャンスにようやくリーチをかけて、トップを盤石にするアガリを手にした。
見ているだけではなぜそうなったのか、理解できなかった。ただ、内川のその表情に、優勝への望みをつなぐ重要な選択があったのだと感じた。
元Mリーガーの朝倉康心プロは「堀さんはプロから見てもまねができない、人をひきつける麻雀(マージャン)を打つ。状況判断や手牌(はい)の読み、構想力などのバランスも良く、それらが合わさったトップだった」と振り返る。
朝倉プロは、オーラスを迎える前の南2局1本場、わざと他の選手に放銃する「差し込み」を選んだ局面と合わせて、堀の強さを解説してくれた。

牌図はドリブンズ・園田賢、パイレーツ・鈴木優、風林火山・松ケ瀬隆弥、サクラナイツ・堀による5月7日の第2試合南2局1本場9巡目。
親の鈴木は序盤にドラの「西」をポンし、1マンもポンするなどチャンタのような進行をしている。
朝倉プロは「パイレーツにラスを引かせたい試合で、優さんの親を流したい。堀さんはアガれなさそうなので、松ケ瀬さんに先にアガって欲しい状況で、優さんに鳴かれなさそうな牌を選んで切っている」と解説する。
鈴木の手はドラが3枚あるため、アガられると1万2千点以上が確定している。となると、危険な橋は渡れない松ケ瀬がオリるまでの「猶予」は少ない。
9巡目、松ケ瀬はリャンメン待ちを鳴いてテンパイを取る。
「チーして優さんと速度を合わせようとする松ケ瀬さんを見て、堀さんは打つなら今だと思ったはず」と朝倉プロはみる。
もし松ケ瀬がテンパイだとすれば、待ちは?
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4巡目に8ソーを手牌から切…