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 奈良公園に試験的にごみ箱を設置する実証実験が10日、始まった。園内には長らくごみ箱が設置されておらず、観光客の増加に伴いポイ捨てと鹿の誤食が問題となっていた。ごみがどのように捨てられるかの傾向を把握し、誤食を防ぐ取り組みにつなげていきたいという。

 この日設置されたのは、公園内にあるバスターミナルの屋内と屋外の2カ所。回収したごみを圧縮できる2台と、非圧縮型1台の3台ずつが設置された。ごみ箱の設置費用は計700万円ほどで、捨てられた時間や量を計測する機能がある。これらのデータと合わせて、バスターミナルの清掃職員が分別したごみの種別を2月中旬までに集計するという。

 県奈良公園室によると、公園内にはかつてごみ箱が複数箇所に設置されていたが、周囲にごみが散乱し、鹿が誤食する事態が多発したため、1985年ごろに撤去された。その後は公園室の職員やボランティアが清掃したり、公園内の店舗がごみを引き取ったりすることで対応してきたという。

 一方、「奈良の鹿愛護会」が2019年に、公園内で原因不明で死んだ鹿14体を検証したところ、9体の胃の中からプラスチックのごみがみつかり、県や同会が対策を検討していた。

 その中で、県は今回、観光庁の補助金も活用しながら、約2千万円の予算で奈良公園内のごみの捨てられ方を調べることにしたという。県の担当者は「どういうごみが出ているのかを検証して、対策を講じたい」と期待する。今後継続的にごみ箱を設置するかについては、検証結果を見て判断するという。

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