東京都議会選や参院選を前に、朝日新聞と大阪大の三浦麻子教授(社会心理学)は、政党に対する意識を聞くインターネット共同調査を始めた。その結果、自民や立憲民主、国民民主など7党を「好き」だと答えた人たちは、その党にかんする情報を主に新聞やテレビから得ていたが、そのほかの新しい政党では動画共有サイトが最多だった。
調査は、2月から6月まで毎月、全国の有権者を対象にインターネット調査会社を通じて実施。毎回1500~2千人ほどから回答があった。
一番好きな政党の情報をどのメディアから得ているかの分析では、新聞やテレビ、SNS、動画共有サイト、「オンラインでの会話」、「対面での会話」のそれぞれについて、入手頻度を「非常にある」から「まったくない」までの4段階で答えてもらった。
その結果、テレビから情報を得ることが最も多かったのは、自民と立憲、日本維新の会、公明の4党だった。新聞(ネットのニュースサイトも含む)が最多だったのは、国民民主と共産、社民の3党だった。立憲と国民民主はかつてあった民主党の流れを引いている。
とはいえ、これら7党のテレビと新聞との差はわずかで、傾向はよく似ていた。
ただ、国民民主だけは、動画共有サイトとSNSを挙げた人が、ほかの6党より明らかに多かった。X(旧ツイッター)やユーチューブなどに親しんでいる層からの支持が厚いとみられる。
また、公明を好きな人は、「対面での会話」からの情報の入手頻度が高く、新聞やテレビと同じくらいだった。
一方、近年になって設立された参政や日本保守、れいわ新選組など、新しい政党を好きだと答えた人たちの多くは、主に動画共有サイトやSNSから情報を得ていた。
特に、参政と日本保守が好きと答えた人は、テレビから情報を得る頻度が顕著に少なかった。
近年、SNSやユーチューブなどで政治をテーマにした過激な意見が拡散される例が増え、考えの異なる人に対する感情的な反発も深まっているとされる。
昨秋にあった兵庫県知事選でも、告示前までは低かった斎藤元彦氏の「好感度」が、投開票日の直前に急上昇したことが三浦教授の意識調査で明らかになっている。
こうしたことから、三浦教授は今回の調査で、政党への「支持・不支持」だけでなく、「好き・嫌い」についても質問し、意識の詳細や変化を追うことにした。
三浦教授は「現実は一つでも、人によって見え方がまったく違う。自分が見ている世界を共有できる人がどれだけいるのか、心もとないと思う人が増えてきたのではないか。こうした違いは何から生まれるのか。意識調査を通じて解明していきたい」と語った。