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参加者からの質問に答える「負けヒロインが多すぎる!」の著者・雨森たきびさん(中央)=2025年2月22日、愛知県豊橋市駅前大通2丁目、戸村登撮影
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 ライトノベルシリーズ「負けヒロインが多すぎる!(マケイン)」の舞台・愛知県豊橋市で、恋が実らない「マケイン小説」を4人1組になって書き上げ、マケインの著者・雨森たきびさんが講評する。そんなユニークな催しが、市まちなか図書館であった。

 マケインは、片思いの女子高校生らの青春を描いたラブコメディーで、豊橋出身の雨森さんのデビュー作だ。2024年にはテレビアニメ化もされ、豊橋はラノベとアニメの「聖地」となった。今や国内外から大勢のファンが「巡礼」に訪れている。

 今回の催しは、マケインにもたびたび登場する市まちなか図書館が企画。43件の応募のなかから抽選で、愛知・静岡・三重・愛媛・神奈川・新潟の10~60代、計16人が選ばれた。

 催しは2月15、22日の2日間にわたって開かれた。初日の15日、参加者たちは4人1組になり、愛知大学ミステリー同好会の11人の手ほどきを受けながら、「起承転結」をチーム4人で分担する「リレー小説」を執筆した。

 できあがった4作品の一つは、美術部で部長をしている男子生徒に思いを寄せる女子生徒の物語だ。女子生徒はある日、部長が彼女からのLINEを受け取る瞬間に出くわし、告白する前に失恋してしまう。そのあと女子生徒は、部長が「好きだ」と言ってくれた絵に打ち込み、コンテストで大賞に輝く。そして部長は、市まちなか図書館に飾られた女子生徒の絵を目にする……。

 翌週の22日には、雨森さんが登壇し、4作品について丁寧に講評。小説家志望で、愛媛県東温市から参加した男性(26)は「雨森さんの作品を通して、豊橋をリスペクトしていて、一度来てみたかった。雨森さんにお会いできて、書く意欲がわきました」。

 雨森さんは講評後の取材に「短い時間で書いた作品にそれぞれ、個性や自分なりの表現があった。まだまだ負けていられないと対抗心を感じた」とコメント。豊橋が聖地巡礼の地になったことについては「来てくれた人がすごく楽しみ、『いいところだ』と言ってくれることがうれしい」と語った。

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