山形県長井市の市立中学2校で、4月に入学した1年生から、学校の制服が選択制になった。これまでは、男子は詰め襟の学生服、女子はセーラー服だったが、ブレザーを追加。性別にかかわらず3種類から選ぶことができる。多様性に配慮した。
選択制にしたのは、長井北中と長井南中。女子生徒のスラックスはすでに認められていて着用している生徒もおり、上は3種類、下はスカートとスラックスの2種類から自由に組み合わせる。
市教育委員会によると、多様性の観点から2年ほど前から議論を進めてきた。ブレザーの制服も増えてきていることから新たに加え、昨年度に2校で制服を展示した。
2校の1年生計207人のうち、ブレザーを選んだのは60人と約3割。南中38人、北中22人だった。
8日にあった南中の入学式では、校長と生徒会長が、違いや多様性に触れてほしいと新入生に語りかけた。
柿崎円校長は「多くの人と心を合わせ、いろいろな考えに触れる3年間にして下さい」とあいさつ。生徒会長の遠藤綾大(りょうた)さん(3年)も「自分と違う考えを持った仲間を受け入れ、互いに話し合ってほしい。コミュニケーションをしっかりとり、仲間のことを思いやることが、信頼関係を結ぶ一番の近道」と述べた。
どんな理由で制服を選んだのか、生徒や保護者に聞いてみた。
ブレザーを選んだある男子生徒は「詰め襟だと首回りがきつい」、別の男子生徒の保護者は「汗かきなので、開放感がある」。女子生徒は「セーラー服よりかわいいし、着やすそう」。着用しやすさを挙げる声が多かった。
一方、詰め襟を選んだ男子生徒は「ブレザーより似合っていた」。「黒が好き」(生徒)、「無難」(保護者)という意見も。
先輩からもらったというセーラー服を着ていた女子生徒は「あこがれ。女子っぽくて青春できそう」と話してくれた。
選択肢が広がったことについては、「選べるようになってよかった」などと好評だった。(大谷秀幸)