福島県大熊町は今年度、除染で出た土などを保管している中間貯蔵施設内にある熊町小学校などを「震災遺構」として活用する検討を本格化させる。東京電力福島第一原発事故の影響を色濃く残す複数の建物が候補に含まれている。
大熊町は原発事故によって全町民が避難を余儀なくされ、原発周辺の町並みは中間貯蔵施設の整備によって消えた。
現時点で町が候補に挙げているのは、町立熊町小学校▽熊町幼稚園▽熊町児童館▽介護施設「サンライトおおくま」▽スポーツ施設「ふれあいパークおおくま」▽熊町水産振興公社(ヒラメ養殖場)の六つだ。
今後、こうした候補のなかから、特に活用できる可能性が高い1件以上を選び、劣化状況などの現況調査を行う。そのうえで民間業者が立案する保存活用案について、町民や専門家らによる協議会で議論し、合意形成を目指す。一連の検討に関わる民間業者は、6月に公募型プロポーザル入札で決める予定だ。
いずれの建物も、帰還困難区域内に設けられた中間貯蔵施設にあり、国の許可なしに立ち入ることはできない。町は国に協議会に参加してもらい、公開の方法なども話し合いたい考えだ。
東日本大震災の「震災遺構」…