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万博で展示されている輪島塗の地球儀=2025年4月9日午後5時23分、大阪市此花区の夢洲、大山貴世撮影
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 現在開催中の大阪・関西万博では、ふだんなかなかお目にかかれない芸術作品に出会うことができる。

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 国内の伝統工芸を集めた「夜の地球 Earth at Night」パビリオンに、輪島塗でつくられた直径1メートルの地球儀がある。職人が5年をかけて制作した作品。昨年1月の能登半島地震でも無傷だったことで「復興のシンボル」となっている。

 今回、所蔵する石川県輪島漆芸美術館(同県輪島市)から初めて館外に出され、万博の会期を通じて展示されることになった。

 展示室は薄暗く、漆黒に金箔(きんぱく)がほどこされた地球儀に、ライトが当てられていた。

 9日の報道機関向け内覧会に立ち会った輪島塗技術保存会の浦出勝彦会長によると、紫外線での劣化を防ぐため室内を暗くし、ガラスケースで温度や湿度を厳しく管理することで展示できたという。

 浦出さんは「漆芸美術館と遜色ない環境を整えてもらった。こういう機会をいただいて、輪島にあるよりも多くの人に見ていただければ」と話す。

バチカン美術館唯一のカラバッジョ作品

 イタリア館の中に併設されているバチカン市国のパビリオンでは、バチカン美術館所蔵のカラバッジョ「キリストの埋葬」が展示されている。

 日本で展示されるのは初めて。闇の中にスポットライトが当たったように、キリストの遺体が横たえられる場面を浮かび上がらせた名作だ。

 バチカンパビリオンのテーマは「美は希望をもたらす」。バチカン美術館で唯一のカラバッジョの作品を、万博にあわせてフランシスコ教皇が選び、日本に運ばれた。

 展示室の中は、輪島塗の地球儀と同じように暗い。イタリア館文化部門のロッセッラ・メネガッツォ代表は「長期間、多くの人に見てもらう上で、館内の光や温度など、適切な環境の保持につとめている。暗くしているのは、光と闇の対比的で劇的な場面を見てもらう意味もある」と語った。

 夜の地球パビリオンは予約不要。イタリア館は予約制だが、当日に並んで入場できる。

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