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定年後研究所の池口武志所長

 勤続20年超の人を優遇する退職金課税の見直しが検討されるなど、終身雇用を前提とした制度が揺らぎつつあります。企業と従業員の関係はどう変わっているのか、老後にどう備えればいいのか。キャリアコンサルタントの池口武志・定年後研究所長に聞きました。

老後、企業が守る時代から

 税の話もありますが、そもそも退職金自体のあり方を含めた企業と従業員の関係が変わりつつあります。

 かつて日本企業は、従業員に安心して働いてもらうため終身雇用を前提としてきました。雇用を保障し、福利厚生を充実させて人生を支え、退職金などで老後の生活も守る。かわりに従業員は、長時間残業もいとわず会社に奉仕する――。そんな関係が一般的だったと思います。昭和の時代、退職金制度は中小企業も含めて広く普及しました。

 しかし、バブル崩壊後は制度維持が難しくなった企業が増えました。退職金がある企業の割合は、以前よりも減っています。資産形成の制度はあっても、最近は確定拠出年金のように運用は従業員に委ね、受取額を企業は保証しない制度の割合が高まっています。もともと定年や退職金などない非正規雇用や自営業、フリーランスなど、生活を守るために働き続けなければならない人も大勢います。

 つまり「老後」全体を考えれば、一部の人が受け取れる退職金の税制をどうするかという議論だけではなく、60代以降の人が生活のために働き続けるニーズに応えられる環境をつくっていくことも大切です。

「何歳まで働けるか」職場選びに変化も

 その観点では、やはり自分の…

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