(21日、第107回全国高校野球選手権大分大会準々決勝 柳ケ浦3―1大分雄城台)
尊敬する先輩たちと少しでも長い夏を過ごしたい――。大分雄城台の中堅手で1番の常田(ときた)翔大朗選手(1年)が気迫のプレーをみせた。
同点で迎えた五回の攻撃では「どうにかして、1点取りたい」との気持ちで打席へ。鋭い振りで中方向への二塁打にすると、こぶしをつきあげ、先輩たちを鼓舞した。
圧巻は八回の守り。2点を勝ち越され、なお2死二、三塁。これ以上失点は許されない状況で、大きな打球が右中間へ。
「お願い、捕ってくれ」。マウンド上の西郡映投手(3年)が祈るように見つめた先で、常田選手が打球を必死に追いかけていた。「まだ終わっていない。逆転できる」。飛び込んで好捕し、追加点を防いだ。
最終回に逆転、とはならなかったが、チームを救うプレーを先輩たちはたたえ、期待を込めた。「勝負強さに磨きをかけて」と西郡投手。先発した甲斐匠真主将(3年)も「体力をつけ、チームを引っ張ってほしい」。
新チームではエースナンバーを背負うつもりだ。この日、センターから見えた2人の先輩投手のように、「信頼感がある、大きな背中で、みんなから頼られる存在になりたい」。涙をぬぐい、決意を語った。