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2025年4月2日、米ホワイトハウスで関税についての発表をするトランプ大統領=ロイター

 トランプ米大統領が打ち出した「相互関税」が、日本経済を翻弄(ほんろう)している。海外に進出している企業にも不安が広がっている。どんな打ち手がありうるのか、識者に聞いた。

迂回輸出の拡大、打撃抑える選択肢に

第一生命経済研究所 星野卓也・主席エコノミスト

 東南アジアに進出している企業の動きとしては、大きく分けて当面、次の二つが考えられる。

 ひとつは、迂回(うかい)輸出の拡大だ。ベトナム(46%)やタイ(36%)、インドネシア(32%)など、今回、高い関税を課された国から、比較的関税が低いシンガポール(10%)などに製品を移し、そこから米国に向けて輸出し、打撃を抑える手法だ。

 脱法的ではあるが、高関税のために企業業績が著しく悪化し、死活問題になる企業にとっては、ひとつの選択肢ではある。サプライチェーンが長く複雑になるが、背に腹は代えられない。

 もうひとつは、米国への生産…

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