ロシアによるウクライナ侵攻から2年半が過ぎました。ロシア軍は旧ソ連時代の戦車や銃も投入しています。今月は軍の定員増を早める計画も発表しました。防衛研究所地域研究部の山添博史米欧ロシア研究室長は、ロシアが旧式の兵器を使い続ける背景について「日本やウクライナの感覚からは信じられないほど、作戦物資や人的資源の大量消費で勝とうという方針に見える」と語ります。
――ロシア軍が投入している旧式兵器には、どんなものがありますか。
戦車や大砲、小銃など様々な旧式装備を使っているという情報がありますが、このうち、前線に投入され、確認がとりやすい大きさの戦車が一番目立っています。
旧式の戦車で最も数多く投入されているのが、約50年前から運用が始まっているT72戦車です。ミリタリーバランスの資料などによれば、ロシアは従来、T72を5千~6千両保有していたと推定されています。
さらに旧式のT62戦車やT55戦車、T72よりも新型ですが最新鋭ではないT80戦車やT90戦車も投入されています。
【連載】読み解く 世界の安保危機
ウクライナにとどまらず、パレスチナ情勢や台湾、北朝鮮、サイバー空間、地球規模の気候変動と世界各地で安全保障が揺れています。現場で何が起き、私たちの生活にどう影響するのか。のべ250人以上の国内外の識者へのインタビューを連載でお届けします。
――T62やT72などは戦…