Smiley face
写真・図版
自民党の森山裕幹事長=2025年月1月22日、東京・永田町の自民党本部、鈴木春香撮影

 自民党の森山裕幹事長は4日の記者会見で、3月に米国で開かれる核兵器禁止条約の第3回締約国会議に自民議員を派遣しない考えを明らかにした。石破茂首相は政府のオブザーバー(傍聴)参加を見送る一方、与党議員の派遣を調整していた。公明党は過去2回の会議と同様に、単独で議員を派遣する方針だ。

 森山氏は会見で「(日本が)NPT(核不拡散条約)に加盟している関係もある。核兵器をなくす努力は日本政府がやってきたことだ」としたうえで、自民議員の派遣について「考えていない」と明言。公明にもその考えを伝えたとした。

 日本は2021年に発効した核兵器禁止条約を批准していない。核保有国が不参加であることや米国の「核の傘」に依存していることなどが背景にある。過去の締約国会議もオブザーバー参加を見送ってきた。一方、公明や広島・長崎両市長らが締約国会議のオブザーバー参加を強く求める中、首相は「理想と現実の間でどう対処していくか、議論しなければならない」とし、与党議員の派遣を検討していた。

 だが、自民内には「議員を派遣すれば、トランプ政権への誤ったメッセージになりかねない」といった慎重論が根強くあった。広島選出議員である岸田文雄前首相も森山氏と面会し、こうした懸念を伝えたという。

 公明の西田実仁幹事長は4日の会見で、森山氏から自民の意向を伝えられたと認めつつ、「唯一の戦争被爆国として、核を持つ国と持たざる国との橋渡し役を果たす」と参加する意義を強調。公明議員を派遣するとし、「自民党や他党がどう判断するかはそれぞれだ」と語った。

 首相は、森山氏の発言について「承知していない。適切な時期に説明があると思っている」と記者団に述べるにとどめた。

共有