カンボジアのフン・マネット首相が28日から来日します。トランプ米政権が一時、カンボジアに49%の相互関税率を課すと発表し、中国の習近平(シーチンピン)国家主席も4月にカンボジアを訪問するなど、大国間の駆け引きも激しくなっています。最近では日本を巻き込んで特殊詐欺の騒ぎも起きています。植野篤志駐カンボジア大使は「カンボジアは日本への感謝を忘れない国。様々な問題に協力して取り組みたい」と語ります。
――トランプ政権による関税政策はカンボジアにどのような影響を与えていますか。
トランプ政権が課した49%の相互関税は東南アジア諸国連合(ASEAN)で最も高い税率です。カンボジアの貿易は、中国やベトナムから繊維製品の原料を輸入し、洋服に加工して欧米に輸出するという構造です。米国は、カンボジアの全輸出額の4割を占める最大輸出相手国ですから、49%は非常に大きな打撃になりかねません。
現在は90日間の猶予期間中ですが、カンボジアは早い段階から手を打っています。4月2日に相互関税が発表されましたが、同月4日にはフン・マネット首相が米国からの輸入19品目の上限税率を35%から5%に引き下げると発表し、16日に担当閣僚が米通商代表部のグリア代表とオンラインで協議しました。カンボジアは米国との協議に一定の手ごたえを感じているようです。
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