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 今年は、絵本画家いわさきちひろ(1918~74)の没後50年となる。1960年代以降、ベトナム戦争が激化する中で「戦火のなかの子どもたち」(73年)など戦争をテーマにした絵本も手がけた。来年で戦後80年。自らも東京・山の手大空襲を経験し、命や平和の大切さを訴え続けた彼女の思いを、長男で美術・絵本評論家の松本猛さん(73)に聞いた。

 ――「戦火のなかの子どもたち」は、松本さんも構成や、本の中に出てくる言葉の作成に参加しました。

 この絵本は一つのストーリーを元に場面を描いたものではなく、ベトナム戦争とちひろが体験した空襲を重ね合わせながら、一つずつの作品が独立して描かれています。

 当時、僕は学生でしたが、アトリエ横にある8畳の和室いっぱいに作品を並べて、一緒に見ながらどれがいいかという話をしていた時に、構成を考えるように言われました。その時に初めて、ベトナム戦争や第2次世界大戦について調べ始めました。

 今思うと、戦争のことをあまり直接的に話す人ではなかったので、自分で調べて、考えて欲しいと思っていたんじゃないかな。

傷つく子どもの心を語るための本を描く

 ――自らの戦争体験を話さな…

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