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 医療搬送用ヘリコプターが4月、長崎県壱岐島沖の海上で転覆した状態で見つかり医師ら3人が死亡した事故を受け、日本航空医療学会と認定NPO法人「救急ヘリ病院ネットワーク」(HEM―Net)は、ドクターヘリ搭乗の医師らが洋上に不時着した際の行動を学ぶ訓練を受ける支援とクラウドファンディングを始めた。

【動画】ドクターヘリに搭乗する医師や看護師を対象に行われた、洋上に不時着した際の脱出訓練=佐々木凌撮影

 不時着水時の対応訓練は受講の有無によって事故の際の生存率が変わるという調査結果もあるが、ドクターヘリに搭乗する医師や看護師であっても受講は義務づけられていない。同学会が6月に行ったアンケートによると、ドクターヘリを運用している病院などで水上を飛ぶ機会がある33病院のうち、30病院が訓練を受けた人はいないと回答。国内で訓練が受けられる民間施設は北九州市戸畑区の「日本サバイバルトレーニングセンター」にしかなく、移動費も含めて受講にかかる費用が高額なことが背景にあると考えられる。

 だが、事故で医療現場にも不安が広がったことから、学会とHEM―Netは、訓練を受けたい医療従事者を募り、1人あたり5万円を支援する取り組みを始めた。

 約50人から応募があり、6月25日に同センターで第1弾の訓練が行われた。北海道から沖縄までの6病院の医師や看護師計12人が参加した。

写真・図版
海上に着水したヘリから患者とともに脱出する訓練をする医師や看護師=北九州市戸畑区

 午前中は座学で、ヘリコプタ…

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