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田起こしから稲作の所作を見せる「田神種播(田の神)」。餅や菓子が見物の人々にまかれた=2025年3月2日、千葉県旭市後草、根岸敦生撮影
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 千葉県無形民俗文化財に指定されている旭市の後草(うしろぐさ)水神社(後草)の「水神社永代大御神楽(えいたいおおみかぐら)」が2日に行われ、10演目以上の神楽が奉納された。「旭市三大神楽」と呼ばれるものの一つで、ほかの二つの神楽も月内に行われる。

 江戸初期まで、現在の東庄町から旭市、匝瑳市の丘陵沿いにかけて「椿海(つばきのうみ)」と呼ばれる潟湖(せきこ)が広がっていた。東西約12キロ、南北約6キロの湖で、広さは山手線の内側ほどもあったと伝わる。水神社永代大御神楽は、その南のほとり辺りに位置する後草地区に伝わり、元々は農作業を始める旧暦2月8日の「事始め」の行事だったという。

 2日にあった奉納では、「神楽師」と呼ばれる20~30代の12人が、舞に囃子(はやし)方にと、手分けして演じた。「今年は新人(新参)が加入しなかったのが残念」と名雪秀太さんは話した。

 日本刀を振るう「猿田彦命」や「三宝荒神」「手力男命」のように、舞台を荒々しく踏み鳴らすのがこの神楽の特徴だという。

 「田神種播(たのかみたねまき)(田の神)」では、田起こしから稲作の所作を披露し、途中で米の粉で作った縁起ものの「新粉餅」や鏡もちを観客に投げ、歓声を集めていた。

 神楽世話人代表の高梨賢一さんは「若手が伝統を受け継いで、無事に奉納でき、ホッとしています」と話していた。

 旭市三大神楽のほかの二つは、やはり昔の椿海区域の南に鎮座する松沢熊野神社(清和乙)で20日に、鎌数伊勢大神宮(鎌数)で29、30の両日に行われる。

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