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伊丹市消防局=兵庫県伊丹市、根本快撮影

 兵庫県の伊丹市消防局東消防署で2月、職員が飲酒運転で出勤してきた可能性を署長が把握しながら、すぐに飲酒検知をしなかったことが、市消防局への取材でわかった。市消防局は、対応が不適切だったとして署長を口頭で注意した。

 市消防局によると、2月14日午前0時すぎ、同市西台4丁目の住宅で火災が発生。非常招集を受けて、東消防署予防係の40代男性職員がバイクで署に出勤した。

 午前1時ごろ、署長から消防車の運転を命じられた際、13日夜に飲酒した旨を申告した。そのため署長は署での業務を命じたが、バイクで出勤した事実を知りながら、その場ではアルコールの検査を指示しなかったという。

 火災が落ち着いた後の午前3時50分ごろになってアルコール検査をするよう指示した。アルコールは検出されなかったが、職員は「(勤務時間外だった)前夜の午後7~8時にチューハイを2缶飲んだ」と説明したという。

 14日午後、伊丹警察署に事案を申告し、後日、署は「バイクを運転した時点でアルコールは抜けていた」と判断した。

 職員は市消防局の聞き取りに対し、「バイクを運転する際はお酒は抜けているという認識だった。公用車を運転するにあたり、万が一傷つけるようなことがあってはいけないと思い申告した」と説明した。

 消防署長は市消防局の調査に「火災対応に専念してしまい、アルコールの検査ができなかった」とし、隠蔽(いんぺい)する意図はなかったと説明したという。

 市消防局長は2月20日付で「綱紀の保持および服務規律の徹底について」と題する内部文書を発出し、飲酒後に呼び出された際の対応など、規律の徹底を通達した。

 信用を失墜させる恐れがある行為を控えるべきだったとして、当該職員を書面による厳重注意とし、職員から申告された際に適切な対応をしなかったとして署長を口頭で注意した。

 市消防局は、道路交通法に定められた安全運転管理者の義務に基づき、消防車などの公用車を運転する職員に対し、運転前にアルコール検査をするという。

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