20日に投開票された参院選では、物価高対策や外交・安全保障、政治改革に加え、外国人政策が争点に浮上した。いずれも秋以降の国会で政権を待ち受ける課題だ。
問われる物価高対策
参院選では、与野党そろって「物価高対策」を公約に掲げた。コメなどの食料品や生活必需品の値上がりが激しく、家計を助けるためとして、負担軽減策を競った。
具体策として、野党側は「食料品に限った時限的な消費税ゼロ」(立憲民主党)など、消費税の減税や廃止を訴えた。対する与党側は「次の時代に責任を持つ」(石破茂首相)などとして、社会保障費の財源となっている消費税の減税を封印。かわりに1人あたり2万~4万円の給付金を出すとした。
だが減税も給付金も、国民の目先の負担減をねらった政策には変わりない。負担を減らすかわりに公共サービスを削るのか、サービス維持のために負担を受け入れるのか、といった本質的な議論は盛り上がらなかった。
衆議院はすでに、与党の自公を合わせても過半数を下回っている。与党単独では、給付金を含む補正予算案を国会で通すことはできない。一方、消費税率の見直しについても、野党の間では主張に幅があり、すんなりまとまるかは見通せない。
そうした状況のなか、金融市場では今後の財政への警戒感が高まっている。選挙期間中の報道機関の情勢調査で与党の苦戦が伝えられると、消費減税をはじめとした財政悪化への懸念が広がり、日本国債の売りが加速。15日の東京債券市場では、長期金利が約17年ぶりの水準まで上昇した。
金利が上昇すると、企業への貸出金利や住宅ローンの利率も上がり、経済活動への重荷となりかねない。将来的には、政府がかかえる借金(国債)の利払い費の増加につながり、政策に使える資金を圧迫しかねない。
関税交渉をまとめられるか
政権にとって外交分野での最大の課題は、「国難」(石破茂首相)と位置づけるトランプ関税への対応だ。トランプ米大統領は今月、日本への相互関税の新たな税率を25%に定めて8月1日に発動すると通告。それまでに米側と合意に達することができるのか、交渉時間は限られている。
石破政権ではこれまで首相の…