全国高校野球選手権大会の運営を支えてきた3人の大会本部委員が、今夏限りで甲子園を「卒業」する。
北海道出身の中川尚之さん(69)は、1999年から道高校野球連盟理事長を務め、道勢初となる駒大苫小牧の全国制覇を見届けた。深紅の大優勝旗を見たいという声を受け、展示場所に悩んだのも良い思い出だ。
2016年から大会本部委員を務めた。万全の体調で臨めるよう、開幕前は日中に散歩して暑さに慣れる。球児の活躍を楽しみに、「若い選手たちからエネルギーをもらいました」。
堀江隆さん(69)は、栃木県高野連理事長を歴任し、2013年から本部委員に。出場チームを先導を担い、試合後のチーム入れ替えの際には声を張り上げて指示をしたため「いつも声が枯れていた」。
印象深かったのは、2016年に全国制覇を達成した作新学院を初戦から決勝まで5試合とも担当したこと。県高野連理事長時代、栃木勢が低迷していたことを思うと、「夢のようだった」。
奈良県高野連の副会長と兼務する松本清一さん(70)は2013年から本部委員を務め、アルプス席の安全配慮に努めてきた。盛り上がる人たちを水を差すように注意をするのは心苦しかった。だから「帰り際に『楽しかった』と言ってもらえるのがうれしかった」。
昨夏の大社(島根)や今春の壱岐(長崎)のスタンド風景は胸が熱くなった。小さな子どもやお年寄りも駆けつけ、声援を送っていた。「一緒に野球を作った応援席の選手にも拍手を送りたい」