何かをしている時にいつの間にかほかのことを考えていると、過去の出来事への後悔や将来への取り越し苦労を繰り返し考える「ぐるぐる思考」に陥り、不安や抑うつを強めやすい。そんなメンタルヘルスの悪化につながる仕組みを、早稲田大大学院生の管思清(かんしせい)さんらと実践女子大などの研究チームが人での実験で突き止め、科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した。
マインドワンダリング 善しあしの決めては?
何かをしている時にほかのことを考えることは「マインドワンダリング」と呼び、いつの間にか考えている非意図的なものと、自ら意識して考える意図的なものがある。ネガティブな気分になって、自分がいやになってしまう経験を多くの人が持つ一方、優れた研究者や芸術家が気をそらして考え事をした結果、思わぬアイデアを生み出す創造性とも関連が知られている。だが何がその善しあしを決めるのかはよくわかっていなかった。
研究チームは、健康的な大学生55人を対象に、パソコンを使った極めて簡単な数字課題の実験を900回繰り返し、マインドワンダリングを引き起こしやすい環境にした。実験の途中に無作為に20回の質問を実施し、マインドワンダリングの有無や意図性のほか、考えている内容がポジティブかネガティブか、過去のことか未来のことか、具体的かあいまいかなどを答えてもらった。前もって、日ごろ感じる過去への後悔や将来への取り越し苦労の傾向に加え、不安や抑うつの症状を国際的な指標に基づき、数値で評価し、それらの関連を統計分析した。
その結果、非意図的なマイン…