小児科医ふらいと先生に聞く
今回はサポートメンバーの皆様を対象に「ニュースレターのテーマ募集」した中から、こちらの3件のQ&Aです。
様々なジャンルの「プロ書き手」によるニュースレターが配信される外部媒体「theLetter」で2024年5月20日に配信された記事です。今回は読者からの質問に回答する内容です。
では丁寧に解説していきたいと思います。
絵本の読み聞かせは効果ある?
読者からの質問
いつも有益な情報ありがとうございます。現在4ヶ月の息子を育てる母です。少し前から機嫌良く起きていられる時間が増え、絵本を読ませたりYouTubeで知育動画を流したりしています。子どもにテレビを見せることは、私自身が小さい頃から推奨されていなかったように思い、YouTubeで知育動画(シナぷしゅやオノマトペ等)を見せることに若干の躊躇いがあります。ただ、よく考えてみると絵本の読み聞かせと何が違うのか分かりません。むしろ動画の方が、赤ちゃんが喜ぶ音やメロディが豊富にあり、発達に良い刺激を与えられるのではと思います。絵本の読み聞かせが、テレビや動画を見せることより、発達等に優位であるというようなエビデンス等ありましたら教えていただきたいです。
特に乳幼児を持つ家庭では、YouTubeやDVDでの教材は多くの家庭で普及しています。親としては、これらのメディアが従来の絵本の読み聞かせと比較して、子どもの発達に対して良い影響を与えるのか、それとも悪影響を及ぼすのか、親なら誰でも気にするところでしょう。
まず、絵本の読み聞かせが子どもの発達に与えるプラスの影響についての研究を見てみましょう。定期的な絵本の読み聞かせが、子どもの読解力を向上させることが明らかになっています。1979年の縦断調査での0~13歳の子ども4239人の事例を対象とした研究では、頻繁に読み聞かせをされている子どもは、読解能力がそれだけ高いことが確認されています(#1)。また、これは親ではないですし、古い研究ですが、低所得層の子を対象にした幼稚園教師による読書時間は、子どもの認知発達や学業成績に良い影響を与え、読書時間の増加が読解力の向上に繫がることが示されています(#2)。
「theLetter」とのタイアップ企画
様々なジャンルの「プロ書き手」によるニュースレターが配信される「theLetter」と朝日新聞がタイアップして、一部コンテンツを配信します。この連載では小児科医「ふらいと先生」が執筆するニュースレターから、子どもの健康や医療に関連する記事を配信します。
一方、テレビ視聴の影響については、特に娯楽番組の視聴が多い場合に、子どもの読解力の進歩が遅れることが報告されています(#3)。テレビ視聴が読書などの重要な活動から置き換わることで、読解能力が低下するという現象も観察されています。
ではテレビやYouTubeによくある教育番組はどうでしょうか?
教育番組は子どもの読解力に…