大手医療機器メーカー(本社・東京)の東海地方の営業所に勤めていた男性は今年2月に突然、北海道への転勤を言い渡された。
次の誕生日がくれば、60歳でシニア社員になるタイミングでのこと。85歳の母親の介護のため、希望して東海の営業所に着任してまだ1年もたっていなかった。
男性は約2年前に離婚し、元妻や子どもと一緒に暮らしていた関東地方の自宅を出た。「ひとりっ子なので母親は自分がみなければ」と異動を希望し、勤務先と実家に近いマンションに移り住んだ。65歳の定年までそこで働くつもりだった。
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母は脳梗塞(こうそく)で左半身が不自由になり、要介護状態になっていた。平日は訪問介護やデイサービスを利用し、週末は男性が実家に行き、母をみた。
そんな中での突然の転勤の言い渡し。動揺したが、嫌な予感はあった。
共働き世帯が増え、育児・介護と仕事をなんとか両立させている働き手にとって「予期せぬ転勤」「望まぬ転勤」は避けたいもの。人材流出への危機感から転勤制度を見直す企業も相次いでいます。転勤について、働き手や企業の視点から連載で考えます
所属していた部署が今春、統…