【連載】「インソウル」の呪縛 超一極集中の韓国 第2回
【連載】「インソウル」の呪縛 超一極集中の韓国
韓国では、人口(約5170万人)の半分が首都圏に暮らしています。多くの若者がめざすソウルの大学を指す「インソウル(In Seoul)」という言葉が象徴するように、ソウルにいてこそ成功への道も開けるという「呪縛」が社会を覆っています。「超一極集中」の韓国のリアルを追いました。
街のランドマークである釜山タワーの展望台からは、立ち並ぶ高層ビルやマンション群のパノラマとともに、青い冬空の下で輝く海が見えた。
ソウルから高速鉄道に乗って最速なら2時間半ほど。私もこれまで何度も訪れてきた韓国南東部の釜山は、韓国を代表する港湾都市として日本人にもなじみが深い街だ。玄界灘をはさんで、地理的に近い九州北部や山口との結びつきも強い。
- 【そもそも解説】韓国の人口の半分がソウル首都圏に なぜ一極集中?
だが、その釜山の街もこの30年ほどの間に、人口が50万人以上減っている。ソウルに次ぐ「韓国第2の都市」の座をそう遠くない将来、単純に人口だけで比べれば、首都圏の仁川市に奪われるのではないか。そんな懸念さえ語られ始めている。
釜山タワーの近く。昔から釜山の代表的な商業地として知られ、観光名所でもある国際市場近辺に私は足を延ばした。
雑貨や衣類、家具、刃物といった様々な商品を扱う店が軒を連ねる。市場で半世紀近く、衣料品などを売る店を営み、釜山の街の変化を見つめてきた男性(76)に話を聞いた。
日本人にとってもなじみの深い街である釜山。韓国の大都市部では初めて、市全体でも「消滅危険地域」に分類されました。なぜ地盤沈下は止まらないのか。記事後半でお伝えします。
「韓国ではソウルへの一極集…