【3】下北半島
能登半島地震では「のと里山海道」など主要幹線道路が寸断され、多くの集落が孤立した。能登と同じように平地が少なく、原子力関連施設が林立することから「核燃半島」と呼ばれることもある青森県下北半島でも道路網の脆弱(ぜいじゃく)さが浮き彫りになった災害があった。
連載「半島を歩く」
能登半島地震を機に、災害時の脆弱さがあらわになった「半島」。半島地域の発展と住民の生活向上を図る半島振興法の制定から40年。全国各地の半島を記者が訪れ、現状を探り、課題を考えます。全8回の連載です。
下北北部を走る国道279号は、海辺と斜面の間にあるわずかな平地を縫うように走る。過去に何度も土砂崩れや落石が発生し、復旧した山肌は無機質なコンクリートで覆われている。
その国道で2021年8月、過去にない壊滅的な被害が発生した。
局所的な大雨の影響で土砂崩れが複数で発生。半島の中心市、むつ市では、北端の大間町と結ぶ国道279号の小赤川橋が崩落した。その途中の風間浦村では、複数の集落が孤立した。
総面積から林野と湖沼を抜いた同村の「可住地面積」の割合は8・49%。青森県内の市町村で最も低く、全国の半島地域の平均29・1%からみても少なさが突出する。
建設中の原発と中間貯蔵施設の中間地点
そのわずかな可住地を通る国道279号の寸断は、村が懸念してきたことだった。冨岡宏村長は「1本の橋が崩れただけで住民は孤立した。下北半島の道路事情の悪さを痛感した」と振り返る。
大間町には電源開発(Jパワ…