アジアのデトロイトはいま
日本の自動車メーカーが育み、アジアの「デトロイト」といわれるタイで、いま、異変が起きています。日本車の牙城に食い込み、そのシェアを奪いつつあるものは。その最前線を報告します。
バンコクの大通り沿いに、その販売店はある。
「BYD」と大きく書かれた看板が目に飛び込んでくる。
店頭には中国の電気自動車(EV)大手BYDの人気小型車「DOLPHIN」などが並ぶ。平日でも店内は混んでいた。
「2022年ぐらいまでスズキの販売店だった」。店の関係者が明かした。
「スズキはノーマルカーしか売っていなかった。BYDは信頼感もあるし、何よりEVにはポテンシャルがある」。BYDに「くら替え」後、30代の男性を中心に客は増えたという。
いま、バンコクでは街の至る所で、スバルやマツダといった日本車の販売店が、気付けば中国メーカーの販売店に替わっている。
完全に転向した店もあれば、日本車に加えて中国勢のEVも取り扱い始めた店など、さまざまだ。
■ちらつく財閥の影、日本とも…