7月、大阪市西区の法律事務所。
遺産相続のアドバイスや経理を担当している野上麻衣子さんは、段ボール箱に向き合っていた。
値上げラッシュが続くお菓子、高騰する米などの食料、日用品も箱の中に詰めこむ。
関西の寺院から届いた品々を仕分けして、ひとり親など困窮する家庭に送るボランティアだ。
箱の中には、メッセージカードも入れる。
今回は「暑い日々ですが、お疲れは出ていませんでしょうか」。
ありきたりな時候のあいさつに徹することには、理由がある。
箱いっぱいのお菓子が届いた日
離婚後2児を1人で育てる野上さんは、7年前まで段ボール箱を送ってもらう立場だった。
イエ~イ!
初めて箱いっぱいのお菓子が届いた日、息子ははしゃぎ、喜んだ。
お金がなくて大変だった。
病気になっても医者に行けない。治るまで、我慢、我慢。安売りスーパーで買った乾麺と野菜を鍋に入れて、グツグツ煮込む。量が勝負だ。子どもたちには学校の給食があることに救われた。
支援の段ボール箱は2~3カ月に1度、届いた。夏は清涼飲料水やゼリー、12月はクリスマスプレゼント。品物にこもる優しさを感じた。
でも、でも、でも。
添えられたメッセージが普通のあいさつ文なのが気になった。
「日々寒くなってきています。体調をくずしませぬように」
「梅が香る季節となりましたね。元気で良い日をお過ごし下さい」
支援物資に感じる温かさにくらべて、通り一遍で表面的、そっけないメッセージ。
この落差は何?…