老舗の中小企業の創業者(75)が暮らす自宅には、光熱費や携帯料金などの請求書が続々と届く。引き落としに使っていた銀行口座が1月に凍結されたからだ。
M&A仲介業者に勧められた相手に会社を譲ったのが一昨年6月。そのあと会社は2度の不渡りを出し、銀行取引ができない事実上の倒産に。従業員は散り散りになり、創業者の個人保証は外れず、築41年の自宅も担保に入ったままだ。
「地獄に突き落とされた気分で、夜も眠れない」
国が積極的に推進している中小企業のM&A仲介。その現場では理想とはかけ離れた事態が起きていた。
郵便局の前で記念写真
認知症を患う70代の妻の自…