障害がある子どもを育てる能登半島地震の被災地の母親は、手狭な避難所や仮設住宅に子どもの「遊び場」が少ないと考えていた。育ち盛りの子どもたちは周囲を気にせず、思い切り遊んでほしい――そんな思いから行動に移した。
特別養護老人ホームで介護福祉士として働く能登町の浜中淳子さん(48)は、元日の震災直後から地域で子どもたちの明るい笑い声が「消えた」と感じていた。
2月末まで入っていた避難所では、親が子どもに「走っちゃだめ」「騒がないで」と何度も言い聞かせる場面をみた。
その後、仮設住宅に移った子どもたちは以前よりおとなしくなり、本来の明るさが失われてしまったと思った。
何より、道ばたに座って、ひとり静かにゲーム機をいじる子どもたちの姿に、心が痛んだ。
自宅の2階に手すり、土壁は板張りに
同町の宇出津港に近い木造一部2階建ての自宅は、津波の被害を免れ、壁にひびが入ったものの倒壊はしなかった。夫の清人さん(52)と特別支援学級に通う小学2年の長男(8)と暮らす。
長男もあまり遊べない環境に…