証券口座が乗っ取られ、勝手に株が売買される被害が急増している。不正な取引額は3千億円を超え、証券会社は顧客に被害補償する方針に転換したが、全額とは限らないという。海外に拠点があるのではとも指摘される犯罪グループを突き止める捜査は進むのか。
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「一定割合を補償すべきではないかと考えを改めた」
SBIホールディングスの9日の決算会見で、傘下のSBI証券の高村正人社長はこう述べた。同社はログイン時にIDとパスワードに加えて他の情報も入力する「多要素認証」を5月末に義務化する予定だが、「(その)環境を現時点では整えていなかった」と被害補償の理由を説明した。顧客ごとの個別取引の精査を5月中に終え、補償の手続きを案内するという。
証券各社は当初、補償にかなり慎重だった。
ある証券会社の役員は「なぜ…