中谷元・防衛相は14日の会見で、石破茂首相が2月の日米首脳会談でトランプ米大統領に購入意欲を伝えた米国製大型輸送機C17について「本気でこれを求めるという認識にある人はまずいないと思う」と述べた。C17の導入を持論とする首相と防衛相の間で、認識の違いが表面化した形だ。
- 首相、米国製輸送機の機種名示し購入意欲 日米会談でトランプ氏に
中谷氏は「もうすでに米国ではC17の製造を中止し、部品も含めてすべての調達ができない状況にある」と述べ、維持・整備の面での課題を指摘。さらに、国産輸送機C2の開発に着手した2001年以前にC17購入を防衛庁(当時)が断念した経緯を踏まえ、「航空自衛隊もかなりの検討を重ねて決定した」と強調した。ただ、有事の際の避難誘導を考えると「大型のヘリ輸送機は必要な部分もある」とも語った。
石破首相は5日の参院予算委員会で「陸上自衛隊のニーズからいっても導入を検討すべきだ」と改めて強調。だが、大型で重量のあるC17の離着陸には長く強度の高い滑走路が求められるなどのデメリットが指摘され、防衛省内ではC17導入への慎重論が強い。