(12日、第107回全国高校野球選手権大分大会2回戦 高田5―3大分鶴崎)
一回裏無死一、二塁、大分鶴崎が重盗を仕掛けた。ジャッジが求められる場面。三塁ベースのそばでしっかりと状況を見極め、「セーフ」と大きく手を広げた。
この日の第2試合で、三塁塁審を現役高校生が務めた。大分舞鶴の甲斐天智(あさと)さん(2年)だ。
中学までは野球をやっていたが、高校では入部しなかった。でも野球に関わりたい気持ちが強く、1年の秋、全日本野球協会の公認審判員(3級)の資格を得た。
県高野連によると、今大会で審判を務めるには県高野連の講習を受け、審判部に登録される必要があった。甲斐さんは今年2月に受講し、ルールブックに付箋(ふせん)をはって読み込んだ。40以上の練習試合で経験を積み、この日が公式戦デビューとなった。
「誰もが納得できるジャッジをするため、自分が冷静になろう」と臨んだ。緊張はあまりしなかった。選手のけがで中断があったが、選手たちに「がんばれ」と声をかけ続けた。
審判の魅力は「一番近くでプレーを見られるし、直接、選手を励ますことができること」。経験をもっと積んで、「将来は若い人たちに教えられるような存在になりたい」。